トップページ > 評価・評定 > カテゴリー別メニュー > アスベスト情報のページ > 建築に関するアスベストQ&A(2005年度成果)

建築に関するアスベストQ&A(2005年度成果)

2005年12月、国土交通省社会資本整備審議会建築分科会に設置されたアスベスト対策部会が「建築物における今後のアスベスト対策について」を建議し、この中で関係機関等の協力を得て「アスベスト相談回答マニュアル」を作成することが掲げられました。
BCJはこれまで、「既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針」の作成・発行やアスベスト除去等工法の審査証明事業を行うなど、様々な事業を展開しており、この一環として、国土交通省からの要請を受け、上記マニュアル作成を行うこととなり、専門家の方々及び関係省庁で構成される委員会及びWGを設置し作成いたしました。
本Q&Aは、上記マニュアルの内容から、建築物に関することを中心に、編集しておりますが、2005年度時点での成果です。本Q&Aを活用される際は、常に最新の情報と併せ、参考情報としてご覧下さい。

アスベストに関する基礎知識

Q01. アスベストとは何ですか。どんな種類がありますか。

アスベスト(石綿(いしわた、せきめん)とも呼ばれる)は、天然の鉱物繊維です。アスベストは6種類に分類することができ、建材などに使用されているのは、主に蛇紋石系(じゃもんせきけい)のクリソタイル(白石綿)、角閃石系(かくせんせきけい)のクロシドライト(青石綿)及びアモサイト(茶石綿)の3種類です。

◆アスベストの種類について

アスベストには下表の6種類があります。このうち、工業的に使用されたのはクリソタイル、アモサイト及びクロシドライトです。他の3種類は、天然鉱物に不純物として含まれている場合があり、その代表的な鉱物は、セピオライト、タルク、バーミキュライト及びアタパルジャイトです。

  蛇紋石族と角閃石族に属する繊維状けい酸塩鉱物
蛇紋石系 角閃石系
名称 クリソタイル(白石綿) クロシドライト(青石綿) アモサイト(茶石綿) アンソフィライト(直閃石) トレモライト(透角閃石) アクチノライト(緑閃石)
使用状況 工業的に使用された 工業的に使用された 工業的に使用された ほとんど使用せず ほとんど使用せず(不純物あり) ほとんど使用せず(不純物あり)

Q02. アスベストはどのような場合に危険性があるのですか。

アスベストの繊維は、きわめて細いため、空気中に浮遊しやすく、また吸入されやすい特徴があるので、飛散したアスベスト繊維を大量に吸入すると繊維は肺の中に残り、アスベスト(石綿)肺(肺の繊維症)、肺がんや中皮腫の原因になるおそれもあります。
現在、アスベストに起因する健康被害としては、過去に防じん対策が不十分であったアスベスト含有製品を製造する工場や吹付けアスベスト及びアスベスト含有吹付けロックウールの施工などが行われた建設現場で働いていた方々などの発病が報告されています。
このように、建材にアスベスト、特にアスベスト含有吹付け材を使用しているビル等の解体(改修)時にアスベストの繊維が飛散するような場合は、危険性を増す可能性がありますので、適切な施工を行うことにより、危険性をなくすことが重要です。
なお、固定化された状態で使用されている限り、アスベストの飛散はありませんので、心配することはありません。

Q03. アスベストの種類によって、発症リスクに差がありますか。

クロシドライト(青石綿)とアモサイト(茶石綿)に比べて、クリソタイル(白石綿)は有害性が弱いといわれており、疫学データでもその例が発表されています。

Q04. アスベストはどこにどのようなものが使用されていますか。

アスベストは、住宅や倉庫では、外壁、屋根、軒裏等に成形板が、ビルや公共施設では、梁・柱の耐火被覆や、機械室等の天井や壁の吸音用等に吹付け材が使用されています。
アスベストを含有している建材は、

  1. 鉄骨の耐火被覆材、機械室等の吸音・断熱材、蒸気等を使用している箇所の結露防止材としての吹付け材
  2. 鉄骨の柱、梁等の耐火被覆成形板
  3. 天井等の吸音・断熱及び煙突の断熱としての断熱材
  4. 天井・壁・床の下地、化粧用内装材、天井板、外装材、屋根材等の成形板

に大きく分類されます。
その他建材以外でも、自動車のブレーキ、電線の被覆材、照明器具の断熱材、シーリング材等に使用されています。アスベストが使われている家庭用品についての詳細は、経済産業省ホームページに掲載されておりますので、ご覧ください。

Q05. アスベストに関する法的規制はどのようなものがありますか。

  1. 労働安全衛生法
  2. じん肺法 
  3. 特定化学物質等障害予防規則
  4. 石綿障害予防規則
  5. 大気汚染防止法
  6. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
  7. 建築基準法
年号 法規、通達名 法規・通達の概要
昭35年(1960) 「じん肺法」制定 じん肺健診についての規定(アスベストも対象) B
昭46年(1971) 「労働基準法特定化学物質等障害防止規則(特化則)」制定 発散防止設備設置、作業環境測定等が規制  
昭47年(1972) 「労働安全衛生法」制定
「特化則」制定
労働安全衛生法が新たに制定されたが、特化則の規定は前年と同じ  
昭50年(1975) 「労働安全衛生法施行令」の改正 名称等表示(アスベスト5%超対象)  
「特化則」の改正
(昭49年ILO職業がん条約批准のため)
5%を超えるアスベスト含有建材が対象
取扱い作業も対象、吹付けアスベスト原則禁止、特定化学物質等作業主任者の選任、作業の記録、特殊健診の実施、掲示等
A
昭63年(1988) 労働省告示「作業環境評価基準」 法規に規定されている各種物質の管理濃度を規定(アスベストも対象:2f/cm3)  
平元年(1989) 「大気汚染防止法(大防法)・同施行令・同施行規則」(大防法)改正(環大企489-490号) アスベストを特定粉じんとし、特定粉じん発生施設の届出、アスベスト含有製品製造/加工工場の敷地境界線基準を10f/Lと規定  
平3年(1991) 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)改正 廃石綿等が特別管理産業廃棄物に指定
運搬、管理、埋立に特別な規制
B
平7年(1995) 「労働安全衛生法施行令」の改正 青石綿、茶石綿(有害性の高いアスベスト)を含有する製品の製造、使用等禁止 A
「労働安全衛生規則」の改正 吹付けアスベスト除去作業の事前届出 B
「特化則」の改正 アスベスト1%超まで対象が拡大、吹付けアスベスト除去場所の隔離、呼吸用保護具、保護衣の使用 B
平9年(1997) 「大防法・同施行規則」改正 特定建築材料(吹付けアスベスト)を使用する一定要件をみたす建築物の解体・改造・補修する作業が「特定粉じん排出作業」となり、事前届出、作業基準の遵守を規定 B
平16年(2004) 「労働安全衛生法施行令」の改正 白石綿など有害性の低いアスベストの含有量1%超の一定の製品(建材等)の製造等の禁止 B
平17年(2005) 告示「作業環境評価基準」 アスベストの管理濃度を改正(施行期日 2005.4.1)  
「石綿障害予防規則」の制定
(施行期日2005.7.1)
従来の特化則の石綿に係る規定に解体・改修での規制(届出、特別教育、石綿作業主任者等)を追加し、石綿則を新たに制定 B
「大防法施行令・同施行規則」改正
(施行期日2006.3.1)
吹付けアスベストの規模要件撤廃と特定建築材料にアスベスト含有保温材、耐火被覆材、断熱材を追加及び掻き落し、破砕などを行わない場合の作業基準を規定 B
平18年(2006) 「労働安全衛生法施行令」
「石綿障害予防規則」
改正(2006.9.1)
製造等を全面禁止するとともに規制の対象を重量の0.1%を超えるものとする。又、吹付けアスベスト封じ込め、囲い込みについては、新たに届出等の対象とする。 A
B
「大防法」改正
(2006.10.1)
法対象の建築物に加え工作物も対象となる。 B
「建築基準法」改正
(2006.10.1)
改修時に吹付けアスベスト等の除去等の措置を義務付け  
「廃棄物処理法」改正
(2006.8.9)
アスベスト含有廃棄物の無害化認定制度を追加 B

※A吹付けの禁止及び製造等の禁止、B解体時の規制

Q06. これまで、ILO(国際労働機関)や日本、その他の国においては、アスベストは適切に管理すれば安全に使用できるとされていましたが、なぜ使用禁止となったのですか。

アスベスト含有製品等の使用に至るまでの過程で、原石の鉱山等における採掘、原綿の解綿加工、建物等の解体、及び廃棄物の処理等でアスベスト繊維の浮遊が避けられず、管理使用が困難であることが明らかになってきたため、新規製品等の使用禁止となったのです。

Q07. アスベストとロックウール、グラスウールの違いは何ですか。

アスベストは自然の鉱物であり、蛇紋岩や角閃石が霜柱状に結晶した繊維です。一方、ロックウールやグラスウールは、メーカーの工場で鉱物等を高熱処理などにより製造されたガラス質の人造繊維です。

◆アスベストとロックウール比較例

単位(μm:マイクロメータ)

アスベスト ロックウール
天然に産する鉱物繊維 工場で製造された人造の鉱物繊維
けい酸塩鉱物繊維で、6種類をアスベストといっている。代表的なものにクリソタイル、アモサイト、クロシドライトがある。 岩石が原料の場合は「ロックウール」で、スラグが原料の場合は「スラグウール」となる。
結晶質 非晶質(ガラス質)
ロックウールに比べて数十~数百倍細い 単繊維の平均径は3~5μm
原 綿(解綿されたアスベスト) 原 綿
クリソタイル アモサイト 繊維状 粒状
クリソタイル アモサイト 繊維状 粒状
顕微鏡写真(倍率100倍) 顕微鏡写真(倍率100倍)
クリソタイル アモサイト ロックウール
センイ径0.0310μm センイ径0.1~10μm 単センイ径3~10μm
単センイ径約0.03μm 単センイ径約0.1μm  
クリソタイルの場合は、主に酸化ケイ素と酸化マグネシウムで、アモサイト・クロシドライトの場合は、酸化ケイ素と酸化鉄で構成されている。 主に酸化ケイ素と酸化カルシウムで構成されている。

ロックウール工業会ホームページ参照引用

グラスウールとロックウールは、工場で製造された人造繊維ですが、ガラスが原料の場合は「グラスウール」で、岩石が原料の場合は「ロックウール」です。

Q08. アスベストを水中に捨てても問題ありませんか。また、アスベストを土中に埋めても問題ありませんか。

◆水中

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(略称:廃棄物処理法)」では、河川等に投棄することを禁止していますので、アスベストを水中に捨ててはいけません。

◆土中

有害性については問題となりませんが、廃棄物を処理するという意味からは、問題となります。アスベスト含有材料の廃棄物を埋立て処分する場合は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(略称:廃棄物処理法)」に従って埋立てることが肝要です。

Q09. (1)ロックウールとは何ですか。アスベスト同様、健康影響がありますか。
(2)バーミキュライト(ひる石)吹付け、又はパーライト吹付け材の健康影響はありますか。

(1) ロックウールとは玄武岩や天然鉱物を高温の炉で溶かし、遠心力で吹き飛ばして繊維状にした人造鉱物繊維を言います。また、鉱さいを原料(主成分:けい酸、酸化カルシウム)とし、繊維状にしたスラグウール(鉱さい綿)も、最近ではロックウールと呼んでいます。いずれもガラス質で、結晶構造ではないためアスベストとは異なるものです。
ロックウールは、長期間、大量に吸い込むと、じん肺になる可能性は否定できませんが、現在国内外でそのような報告はありません。

(2) ひる石吹付け、又はパーライト吹付けにアスベストが含有している場合がありますが、一般的には、表面が硬く固化しているために、アスベスト粉じんは発生することはほとんどなく、通常の使用状態では健康影響はないと考えられます。