■事業の状況
当財団は、確認検査の民間開放とともに平成11(1999)年5月に建築基準法に基づく指定確認検査機関として
業務を開始し、令和5(2023)年度末までに8,395件の確認審査 (建築物(新規)) を実施しました。(図表1)
建築基準法等の各種法令の改正に合わせて業務の拡大を図っており、平成27(2015)年6月に民間開放された「仮使用認定制度」についても、同年8月から業務を開始しました。確認検査業務においては、500㎡超の中小規模建築物から超高層ビル等の高度な技術力を必要とするものまで、幅広い建築物を対象としています。その対象も、法令改正やお客様からの要望に応じて随時変更、拡大しています。
令和3(2021)年3月には、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」に規定する建築物エネルギー消費性能適合性判定を受ける建築物のほか、検査済証のない建築物の増改築等を可能にするため、国土交通省が定めた「指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」に基づいて調査を行った建築物や、CLT構造建築物も対象建築物に追加しました。(図表2)
当財団は業容の拡大に加え、IT技術の活用も積極的に推進しています。WEB会議システムを活用したお客様との事前相談や事前審査を行っているほか、令和2(2020)年2月からは当財団独自のシステムを用いた「電子申請」の受付も開始しています。
さらに、お客様からの要望に応じて確認検査の法定業務を補完・付加する審査・検査業務(任意審査・検査)にも取り組み、その中でBIM(Building Information Modeling)データを活用した事前審査に加え、令和5(2023)年4月には「BIMデータを活用した遠隔臨場システムの検証協力」といった、先進的な取り組みにも対応しました。
【図表1】確認審査件数の推移
【図表2】業務区域及び対象建築物等の変遷
■内容と特徴
(1)高度な審査技術
当財団の確認検査業務の特徴は、超高層建築物や免震構造、避難安全検証法等を採用した建築物や、再開
発プロジェクト等の大規模かつ複雑な建築物の確認検査の実績が豊富なことが挙げられます。これらの審査
に的確に対応できるよう、確認検査員には常に審査に関する高度な知識が求められます。
これまでの実績で蓄積してきたノウハウを活かし、若手職員への教育や育成、技術承継、資格取得の推進
等にも取り組むことで、業務に携わる職員全体の技術力の向上に努めています。
(2)お客様の要望に応えるサービスの提供
①ワンストップサービス
当財団は、確認検査の申請内容に合わせ、ワンストップでサービスを提供できる体制を構築しています。
特に、性能評価(大臣認定)や省エネ適合性判定を要する建築物、住宅性能評価を取得する住宅等につ
いては、事前相談の早期の段階から各担当者が連携し、審査期間の短縮や申請図書の合理化等をはじめ
とした、お客様の要望に適切に対応しています。
②適切な審査及び情報サービス
事前相談の段階から、お客様からの法令解釈や技術的な疑問に適切に対応することで、手戻りのない円滑
な申請手続きを推進しています。また、審査においても、判断根拠を明確に説明する等の丁寧な対応に努め
るとともに、審査の進捗状況を適宜情報提供し、お客様が希望された審査スケジュールを厳守するよう心がけ
ています。
他にも、お客様への情報提供やコミュニケーションを図ることを目的として、法令改正等をテーマとした
セミナーや相談会を定期的に開催しているところです。
「職員のこぼれ話」~段ボール7千箱のキョーフ~
平成19年の法改正により、申請図書の保管期間がそれまでの5年から15年に大幅に延長され、その結果、2024年8月現在、保管図書の量は、なんと段ボール7千箱に至っております。
15年を経過した保管図書は、基準法を遵守し廃棄していますが、図書の最終確認作業は、容易ではありません。まず、保管場所の外部倉庫が都心から電車で2時間半かかる遠方で、職員が2名体制(ダブルチェック)で出向かなければなりません。作業翌日以降、確実な筋肉痛を覚悟しつつ、過酷な肉体労働に耐えながら、1日100箱のノルマを達成するため、一心不乱に、なお且つ、正確に作業をすすめなければなりません。 作業が終わると、軍手は汚れ、汗とほこりまみれで、ぐったりです。
電子化が進む昨今、いつの日か、この「キョーフ」が笑い話になることを期待しています。