ある日、自治体の方からの次のような焦った電話相談がありました。
「地元のコンサルタントに委託して、ある学校の劣化調査をしたところ、『コンクリートの中性化がかなり進行しているので、残存耐用年数はほとんどないと報告を受けた。建て替えとなると、数十億必要だ。』と言われ困惑している。どうにかならないか?」
これに対し当方から、鉄筋コンクリート造建築物の耐用年数評価のご説明をしたところ、早速、評価依頼をいただくことになりました。改めて当財団にて調査した結果、その学校は100年超の耐用年数があると評価されました。まさに「正反対」の結果となり、自治体の方は胸をなでおろされたことは言うまでもありません。
そもそも鉄筋コンクリートは、屋内側の中性化は屋外側より早いが、コンクリートが乾燥しているため鉄筋はほとんど錆びません。一方、雨掛かりがある屋外側は中性化が鉄筋に達すると鉄筋腐食し、それが進行すると構造耐力が低下していきます。
こうした事例から、コンクリートの中性化による劣化機構については、まだ十分に理解が行き渡っていないケースがあることを知り、新たな気づきがありました。今後のストックの長期活用を見据え、知識の共有や認識の向上に努めたいと考えています。